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催眠術を本格的にマスターしたい人向け「徹底ガイダンス」(その3)

催眠術を本格的にマスターしたい人向け「徹底ガイダンス」(その3)

暗示

相手が催眠の状態に入ったら暗示を与えていきます。相手が催眠の状態に入ったら、相手にこちらの意図した誘導をさせます。その方法が暗示を入れると言います。

暗示文とは遠回しの命令のことです。暗示の反対は、明示です。明示とははっきり表現する事で、暗示は、その反対なので、疑わしく表現する事です。

誘導が終わっている場合、すでに脳内では自我の境界線が溶け、潜在意識がむき出しの状態になってるため、そこに、暗示を与えてると、まさにその通りのことをします。

ただし、「犬になれ」と命令しても、犬にはなりません。相手を犬にしたかったら、それなりの段階を経なければなりません。それが暗示の技法なのです。

次のような暗示を与えます。

「……頭がボ~~とした状態で、私の言うことをしっかり頭の中で聞いてください。

あなたは犬が大好きです。犬と一緒に遊んでいると心地いいのは当たり前です。かわいい犬と一緒にいるだけで楽しいですね。

犬とじゃれているのが大好きなあなたは犬と一緒に遊んでいます。かわいいワンちゃんがシッポを振りながら、あなたにキャンキャンと甘えてきます。楽しいですね。

あなたは、もっと楽しくなるために犬のマネをして一緒に犬と遊んでいます。犬も大喜びで、シッポを振りながらあなたと一緒に遊んでいます。犬も大喜び、あなたも大喜びです。

犬のマネだけではなくて犬になりきって遊びましょう。犬も大はしゃぎで、あなたは犬と一緒にキャンキャンと遊んでいます。楽しくて幸せいっぱいです。

犬になりきるだけではなくて、あなたは犬になってしまいます。犬になって遊ぶと、嫌なことはすべて忘れ去り、すべてのストレスから解放されて、楽しくてしょうがないのは当たり前。

私が3つ数えて指をパチンと鳴らすと、あなたはかわいい子犬です。3つ数えます。3、2、1。

お手、おかわり、チンチン、耳の裏をコチョコチョ……」

分かりましたか?要は、犬と遊ばせてから犬のマネをさせ、そして次の段階でようやく犬になりきって、最後に犬になるという暗示を与えるということです。

つまり、「犬と遊ぶ」→「犬のマネをする」→「犬になりきる」→「犬になる」という順序です。

よくテレビなどの催眠ショーで、催眠術師が指を鳴らしただけで相手が犬になるという場面を見たことがあるかもしれませんが、じつはそれまで段階を経た暗示をしているはずなのに、放送ではその部分をカットしているので、あたかも瞬間的に犬になったように見えるだけです。

また、当然のこととして、それ以前に「興味」「信頼」「誘導」という催眠の流れがあったことは言うまでもありません。

とはいえ、このように潜在意識がむき出しになった脳に「暗示」を与えていくと、視・聴・嗅・味・触の五感を変換させることができるばかりか、筋肉や記憶、感情をも変化させることができるようになります。

問題はその暗示の入れ方です。

暗示はできるだけ相手に分かりやすく、相手が納得する形にしなければなりません。もしも相手が納得しなけば、それは失敗です。催眠はかかりません。

そういった意味では催眠は究極の自己催眠だといえるでしょう。あくまでも本人がそう思うからこそ五感や記憶までもが変換してしまうのです。暗示は言葉の誘導技法だと思ってください。

それでは実際の暗示の具体例を以下に説明していきましょう。もちろん、相手は催眠状態に入っていることが前提です。

 

味覚の暗示 

味覚を変えさせたいと思ったとき、つまり、甘いものを苦くしたり、苦いものを甘く感じさせたりというようなことをさせたいときは、次のような暗示をします。これはオレンジジューを真水に変えてしまう方法です。

「……あなたの目の前にあるオレンジジュースを、私が高級なろ過器を使って一滴一滴、丹精込めてろ過しました。色はオレンジジュースですが、きれいにろ過したので味は真水です。

一滴一滴ろ過したので、色はオレンジジュースですが、味は真水になるのは当たり前ですね。高級な濾過器で私が濾過したので必ずそうなります。

3、2、1、パチン(と指を鳴らす)。

飲んでみてください。真水なので味がしません……」

これで相手はオレンジジュースなのに真水のように味も匂いも感じなくなっているはずです。

この味覚の変換は割と浅い催眠でも簡単にすることができます。

 

匂いの暗示文

イヤな匂いでもステキな匂いにかえたり、ステキな匂いでもイヤな匂いにさせたりというように、嗅覚を変えるときは次のような暗示です。まずイヤな匂いがする靴下を用意します。それを相手にかざして、

「……あなたの目の前にとてもいい香りがするものを持ってきました。あなたの大好きなフワフワするような香り、気持ちのいい香りがします。リラックスする香りです。

あなたは強い香りが大好き。ツーンとする香りをかげばかぐほど、フワフワしてとてもいい気持ちになります。人の足のにおいなんて、においが強いからうれしくてたまらないですね。

あなたの目の前に強い香りがするものを持ってきました。あなたのひざの上に乗っているのは、あなたにとって最高のにおいのプレゼントです。ツーンとした香りをかいでいるだけで幸せいっぱいなのは当たり前ですね。

「ひとつ、ふたる、みっつ おはよう」

においのプレゼントです。いい香りがして幸せいっぱい、ウキウキしてきます。鼻いっぱいに吸うと幸せいっぱいですね」

 「ひとつ、ふたる、みっつ おはよう」と言った部分は、これで相手の催眠を半分だけ解いて目を覚まさせた状態にするためです。これで相手は目が覚めますが、暗示は残っているので、臭いはずの靴下からいい香りがしていると感じます。

次に、「3つ数えると催眠が解けます。「さん、に、いち、おはよう」と言って催眠を解くと、それまでいい香りがしていると思い込んでいた靴下は本来のイヤな匂いに戻り、相手は顔をしかめてしまうでしょう。

 

幻覚の暗示文

幻覚などのように視覚を変換させることも可能です。ただし、幻覚は催眠の深度が深くないとかかりません。深い催眠状態に入っていることが前提になります。

また、いきなり幻覚を見せるのでなく、段階を踏んでいく必要もあります。

例えば、暗示は次のようなものになります。

「……ス~と目を閉じてください。あなたの目の前にモクモクと霧が発生しました。

私が3つ数えて肩をポンとたたいてあなたが目を開けると、目の前がぼんやりしてきます。

「ひとつ、ふたつ、みっつ、おはよう」

ぼんやりしていますね。モヤ~としています。私の顔が見えますか。でも、輪郭がはっきりしていません。部屋の遠くを見るとモヤモヤしています。焦点が合わなくてモヤ~としていますね。

ス~と目を閉じてください。どんどん霧が発生してきました。さっきよりもっとモヤモヤしています。輪郭は、何となくしかわからなくて、さっきよりもっとモヤモヤしています。

「ひとつ、ふたつ、みっつ、おはよう」

遠くを見るとモヤ~としています。不思議ですね……」

このとき、視覚が変換したことで相手が怖がるかもしれません。相手に安心感を与えるため、相手の手を必ず握ってください。手を握られているだけで相手は安心します。

さらに続けます。

「……もう一度目を閉じてください。また霧が出てきて、目の前は真っ白で何も見えません。

3つ数えます。「ひとつ、ふたつ、みっつ、おはよう」

手を握っているから安心ですね。

目を閉じてください。霧が晴れます。スッキリしますね……」

ここまで来ると、あとはいろんな幻覚を見せることが可能になってきます。

「……もう一度目を閉じてください。あなたの目に魔法をかけました。

親指と人差し指で輪を作って外の世界を見ると、なんと服がスケスケです。催眠にかかっているので何が起きても不思議ではないですね。

3つ数えると、服がスケスケになってきます。「ひとつ、ふたつ、みっつ、おはよう……」

本当に服が透けているように相手は見えるはずです。さらに、

「……目を閉じてください。ス~~、フワ~。

あなたの目に不思議なことが起きます。あなたの目には、紙コップなんて入ってこない。目で見えていても脳では認識していない。

あなたは催眠にかかっているので、紙コップが認識できないのは当たり前です。

あなたの目の中に、紙コップが見えていても、この世に存在するわけがないのでスケスケ、認識できないのは当たり前ですね。

3つ数えます。「ひとつ、ふたつ、みっつ、おはよう……」

もう相手は紙コップが目の間にあってもそれを認識できません。もし紙コップの上に携帯電話を置いたら、携帯電話が宙に浮いているように見えるはずです。

実際に体験してみないと本当にそんなことが起こるのか不思議に思われるかもしれませんが、本当にそうなるのです。これは脳の不思議と言っていいでしょう。

 

感触の暗示文 

触覚も変換することができます。熱や痛みを感じなくさせたり、逆に敏感にさせたりすることも可能となります。

催眠状態に入っている相手に次のような暗示を与えます。

「……歯医者さんに行ったとき、麻酔の注射を打たれことがありますね。麻酔の注射を打つとどうなりますか? 感覚が痺れてきます。

今、あなたの右手に麻酔を打ちました。右の肩から力が抜けてダラ~ンとなります。

麻酔の液がジワ~と流れてきて、あなたの右手の血管を通って右腕全体に麻酔の液が浸透してきます。

麻酔の液が浸透してくると、右手の感覚がどんどんなくなってきます。右手がピリピリしびれてきます。麻酔を打たれたので右手の感覚がマヒしてきます。どんどんマヒしてきます。

かわいいので麻酔をもう一本打ちました。麻酔を二本も打たれたので、麻酔の液がジワ~と流れてくると右手がピリピリしびれてきて、つねられても、触られても、たたかれても、一切の感覚がないのは当たり前です。

3つ数えると、右手の感覚が一切なくなります。「ひとつ、ふたつ、みっつ、、おはよう……」

もう右手を叩いてもつねってもマヒしているのでまったく痛くは感じなくなっているはずです。これが無痛感覚です。

この感覚に移行できた人は、エッチな催眠もかけることができます。例えば、手の指を性感帯にして、ちょっと触れただけでも興奮してしまうということも可能となるのです。

 

筋肉固まらせる暗示文

以上は五感についての変換方法でしたが、その他にも筋肉を一瞬にして固めることができます。これは先に説明した「驚愕法」です。まず相手の手をギュッと握らせ、まったく関係のない質問をします。例えば、「一昨日の朝ご飯、何食べた?」。

そうすると相手は一瞬パニックを起こします。「手を握れと言っておいて、この人、ナニ関係ないこと言ってるの?」とか「え? 一昨日の朝ご飯? 何食べたんだっけ?」と意識が混乱したその瞬間に、「ガチガチに固まってきた!」と言って相手の腕の外側を叩きます。

腕の筋肉と言うのは、内側を叩かれると筋肉が弱くなり、外側を叩かれると筋肉が固まるという性質があります。これを利用して、腕の外側をピンポイントで叩いていきます。そして、それと同時に暗示を脳に吹き込みます。

「ほら、ガチガチに固まってきた。鉄の棒を入れたのでガチガチに固まって、絶対に動かない。もっと固まってきた。固まってきた」

こうなると、いくら相手が動かそうとしても腕自体が動かなくなってしまいます。

また、両手をくっつけて離れなくさせる暗示も私はよく使います。相手が催眠状態に入ったら、次のような暗示をします。

「……私の目を見てください。あなたの右手に瞬間接着剤をべったり塗って、左手にもべったり塗って、半乾きの状態で両手を合わせるとどうなりますか。

取れませんね。

瞬間接着剤をべったり塗ったので、ガチガチに固まって絶対に離れない。離そうとすればするほど、どんどん固まって離れなくなります……」

相手はどうしても両手がくっついて離れなくなりますので、その間にオッパイを触っていたずらをしたりします。これは悪い催眠ですので、あまり悪用しないで下さいね。

元の状態に戻すときは、

「サン、ニイ、イチ で一瞬で離れます。サン、ニイ、イチ、パチン(と指を鳴らす)」

これで手は離れます。

 

記憶の暗示文 

記憶を変換させる技法もあります。3歳児をあやすような口調を用い、催眠状態に入った相手に、例えば、次のような暗示を与えます。

「……スーと目を閉じてください。あなたの目の前に大きなホワイトボードを持ってきました。左から順に1~10まで数字を書きました。そして3と5の間の数字をスッと消しました。

消したので、あなたの頭の中には3と5の間の数字はありません。

3つ数えると、そのことをしっかり覚えたまま起きてきます。

ひとつ、ふたつ、みっつ、おはよう……」

相手は3と5の間の数字、つまり4の数字を忘れたので、5+1は6と答えることができても、2+2はどうしても答えることができなくなります。このとき、大事なのことは直接「4」という数字を言葉にしないことです。「4という字を消しました」と言っても、一度「4」という数字を思い浮かべてしまうと、なかなか消すことができなくなるからです。

これと同じように自分の名前でも忘れさせることができます。

「……スーと目を閉じてください。今、あなたの頭の中にあなたの名前が入っています。そのあなたの名前が、つむじに集まってきました、どんどん集まってきました……」

そう言って、名前が集まってきたつむじから何かを取り出す素振りをします。

「もうあなたの名前を私が手に取ってしまいましたので、あなたの頭の中にあなたの名前は消えてなくなってしまいました。

あなたの名前はなんですか?……」

いくら聞かれても相手は自分の名前を言うことができません。

元に戻すには、

「……目を閉じてください。名前を返します」

と暗示を与えるだけで、名前を思い出すことができます。

「数字も返してあげます。2+2は?」

これで相手は4と答えることができるようになります。

 

感情の暗示文 

感情も変化させることできます。笑いを止まらなくさせたり、一瞬で悲しい気持ちにさせたりということです。

特に、相手にこちらのことを好きにさせることも可能です。ただし、いきなり好きにさせることは無理があります。これはすり替え暗示といって、段階を踏んでいきます。

例えば、何でもいいのですが、ぬいぐるみのような触って気持ちいいものを用意し、催眠状態に入った相手に「ぬいぐるみを触ると気持ちいい」という感情を植え付けたら、「その気持ちいい感覚は、私の手を握っても同じように気持ちいい」→「その気持ちいい感覚は、私の手から私の腕で移っていく」→「腕から胸へ」→「胸から身体全体」→「ギュッと抱きしめられると気持ちいい」→「私のことが好きなる」という順番に持っていきます。

つまり、いきなり好きになれというのではなく、かわいいぬいぐるみの感覚をこちらの手に移し替え、その幸せな気分をさらにこちらの腕に移し替えることで、最終的に好きという感情を芽生えさせていくのです。

暗示文は次のようなものになります。

「……今、ここのぬいぐるみがあります。これをギュッと握ってください。フカフカして気持ちがいいですね。

スーと目を閉じてください。ギュッと握ると茶色い生き物がかわいくてたまらない。握っていると幸せがあなたの全身に乗り移ってきます。

人形を触っている感覚がフワ~~と全身を包んで楽しくなります。ルンルンで口元もにやけてきました。超気持ちが良くて楽しい気分。

この人形を私が左手で握ります。今度は私の手が媒介となるので私の手を握ってください。人肌の温かい感覚が気持ち良くてたまらない。ギュッと握るともっと幸せになります。気持ちがいいですね。

今度は、私の手だけ握ってください。ポカポカ温かい気持ちになってきます。心の底から温かくなってきます。

でも、左手だけでは小さいですね。温かさが私の腕全体に乗り移ってきました。腕を触ると、とても温かくなってきます。

男の人の腕はたくましくていいですね。根元を握るともっと温かくなってきます。二の腕なんてポカポカです。幸せいっぱいになってきます。

でも、腕だけでは満足できないですね。

今度は、胴体まで温かくなりました。私の胸を触ってみてください。もっと温かくなります。握れば握るほど幸せな感覚になってくる。

ポカポカ温かい感覚はたまらないですね。あなたの幸せは私の腕の中、ギュッと握っているだけで幸せいっぱいになってきます……」

相手の女の子はこちらの腕を抱きしめ、それこそオッパイをグリグリと押しつけてくることでしょう。

ただし、催眠が溶けた瞬間、相手の感情はもとに戻ります。別にこちらのことを好きでもなかったら、その感情はそのままです。好きという感情はあくまでも催眠状態に入った間だけのものだということです。

じつはこのことはとても重要です。

私は催眠を利用してそれこそ大勢の女の子を口説いてきましたが、それは催眠状態の間だけ相手を好きにさせたということではありません。

あくまでも催眠というものを一つの道具として利用し、そういう催眠を使う私のことに興味を持ってもらい、その結果として、私に好意を抱いてもらってきたのです。

ですから、催眠をかけていない状態、つまり催眠が解けて現実になったときでもこちらに好意を持ってもらうことで、初めてホテルでもどこにでも誘うことができるというわけです。

それに、催眠状態の間だけ好意を持ってもらっても、それは虚しいだけです。催眠中の出来事は覚えていますので、あとで女の子に恨まれる可能性もあります。

ちなみに、くどいようですが、「暗示」はあくまでも催眠状態に入っていないと、まったく効果がありません。普通の状態のときに、いくら「暗示」を与えても、無意味だということを忘れないでください。

 

tnm1

 

 



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