信頼
催眠に興味はあっても、怖いと感じる女の子は多くいます。たとえ興味があっても怖いと思ったままでいたら、それは心が催眠を拒否してしまいますから、絶対に催眠はかかりません。
相手に怖いと思わせないようにするためには、安心を与えて信頼関係を結ぶことです。
例えば、催眠の話題をしたとたん「かけて! かけて!」と言ってくるような子は、不思議大好きで最初から催眠に疑問を持っていない子ですから、不安も感じていないでしょう。
しかし、たとえそういう子であっても、催眠の話題を持ち出したときに、あなたがとてもオドオドしたような素振りをしたり、逆にニタニタとイヤらしい笑いを浮かべていたりしたら、どうでしょう。
相手は不安にかられるはずです。「この人はどうしてオドオドしてるんだろう? 何か理由があるのかしら。ちょっと不安」とか「なにイヤらしい笑いしてるの! 変態!」と思われても仕方ありません。
そう感じさせたら、その時点ですでにアウトです。
催眠をかけようと思ったら、まず相手に会ったときからゆったりと構え、たえず紳士的な笑顔でゆっくり会話することを心がけてください。
要は「この人なら安心」と思わせることです。
このことは、催眠を実際にかける段階になったときも同様です。催眠をかける前はゆっくりとしたトーンで笑顔を忘れないことが大切ですが、いざかけるときは、真剣な表情になってください。
この段階になってまだ笑顔を浮かべていたら、同じ笑顔でも今度は相手に不安を与えてしまいます。真剣な表情になることで相手に安心感と信頼を与えることができるのです。
また、相手を安心させるためには言葉遣いも重要です。
「怖がらなくてもいいから」という言い方と「安心して」という言い方は、どちらも同じ意味ですが、受け止め方は大いに違うということが分かるでしょうか。
「怖がらなくてもいい」という言い方は、一見優しい言い方に思えますが、「怖い」という感情を呼び起こさせてしまいます。それを否定しろと言われても、いったん呼び起こされた感情はなかなか消すことはできません。
相手に信頼感を与えるためには、「○○ではない」というような否定形を使わないことです。できるだけ肯定形の言い方にするよう気をつけてください。
とはいえ、話し方はけっこう複雑で、ある程度の脅迫や権威性も必要になってきます。
例えば、相手に興味を持ってもらおうと催眠についての話をするとき、「催眠で肩こりが楽になるんだよ」と言ったとします。そのとき、相手の目を見つめて、「マジで肩こりが楽になるんだよ」と、ある程度の脅迫と権威性をもたせ、やや強めに断定的な言い方をしたらどうでしょう。
もちろん相手が反発したらそれまでですが、逆に信憑性が増して、こちらの言うことに信頼を寄せてくるということがあるのです。
これは、ある程度の脅迫まがいの言い方をすることで、こちらの方がステータスが上だよということを相手に植え付け、尊敬を抱かせてこちらの言いなりにさせるというテクニックです。
しかし、このテクニックは経験を積んでいかないと、なかなか応用できないかもしれませんので、ここではそういうテクニックもあるということを覚えておく程度にしてください。経験を積んでいけば、必ずそのコツが分かってきますから焦ることはありません。
また、口調や素振りだけではなく、実際に言葉で催眠のことを説明することで相手から信頼を勝ち取ることも重要です。
特に催眠は拒否しようと思えば拒否できるということをはっきり相手に伝えた方が、逆に安心感を与えるようです。
催眠は必ず解けるということも説明してください。催眠の最後には「解除」という作業があり、催眠状態から元に戻す暗示を必ず行うのですが、もしもその作業をしなくても、一度眠れば、目が覚めたときは催眠が解けます、ということを伝えます。
じつは催眠を解いてあげないと、とても危険なことにつながることがあるのですが(このことは「解除」の説明で詳しく述べます)、これから催眠をかけようという相手に、あえて危険なことがあると説明する必要はありません。
よけいなことは言わず、ただ催眠は必ず解けるし、必ず解けるものだということを説明してあげることで、相手を安心させることを優先しましょう。
こうして相手に興味を抱かせ、信頼関係を築いた時点で、はじめて「誘導」に移ります。
極端なことをいえば、この「興味」と「信頼」までが、催眠の8割だと思ってください。別の言い方をすれば、この「興味」と「信頼」がうまくいったら、催眠はほぼ成功です。
それほどまでに「興味」と「信頼」は重要だということです。これを軽んじる人は、絶対に催眠はかけられないと断言しておきます。