コミュニケーションをとるときに大切なのは、相手がどういう人なのかを理解することです。
相手の理解もないまま、自分の考えだけで話をしても、決してコミュニケーションをとることはできません。相手がどんな気持ちで、どんな目的で、自分と話をしているのか十分理解する必要性があります。
そのうえで、次に大切なのが、その時の環境や状態に合わせて、言葉の種類や言葉の調子を選ぶ力です。それから、顔の表情や体の使い方、つまりボディーラングウェッジを使い分ける力です。
具体的には、環境や状態にあわせて、どのコミュニケーションスキルをとればいいのか考えます。さらに、環境や状態に合わせて、表現を論理的にしてみたり、あるいは感情的にしてみたり使い分けが必要です。これが、言葉の種類や調子を選ぶことです。
そして、言葉以外のものの使い方を考えます。この場面では、笑顔の方がいいとか、体を使って表現したほうが相手の気持ちをつかむことができるといったことについて考えます。
コミュニケーション能力は、明るく活発な人の方が、暗く口下手な人よりも高いと思われがちですが、すべてがそうではありません。
ある意味、大きな間違いだと言っても過言ではありません。おかれている環境や目的によって、高くもなるし、低くもなるのが、コミュニケーション能力なのです。
例えば、明るく活発な人が、もし、静かに語り合いたいと思う人とお話をしたら、その人だけがテンションが高くて、もう一人の人は疲れてしまうだけかもしれません。
また、とても好きな人が、明るい人が好きというのに、いつもまじめな話ばかりしていては、こちらを向いてくれたとしても長続きしません。
逆に、明るい人が好きと言われたからと言って、いつもへらへらと笑顔で会話していたのでは、頼りない人だと思われてしまうかもしれません。
次にコミュニケーションの方法を考えてみましょう。
とにかく話をきく
うまい受け答えができなくてもいいのです。「あなたの話を私は聞きたいです」という態度を示すことが大切です。
誰だって自分の話を熱心に聞いてくれる人には好意を抱きますよね。
あいづちを打つ
話をきくだけでは、相手があなたが本当に聞いてくれているのか、わかりません。
あいづちを打つことで、相手が確実にあなたが話を聞いてくれていると感じ安心感が生まれます。「うん、うん」だけで構いません。
慣れてきたら、「うーん」「そうか」といった言葉も入れるといいと思います。
相手の自己肯定感を満たす
人間は話を聞くことより、話すことに積極的になりがちです。
自己肯定感は、自分の話を聞いてもらうことで高まることがわかっています。また、ほめられることでも高まります。
相手の自己肯定感を高めることで、この人と話をもっとしてみたいと思わせることができます。
少し換えてオウム返し
相手のいうことを、オウムがいうように繰り返すことです。
ただし、単なるオウム返しではなく、相手の言ったことに対して、少し言葉を換えて返事を返します。
ただ単に相手の言葉をオウム返しすることも、無意識のうちに自分と同じ話し方をすると、親近感をもってもらえますが、過度に使うと自分の真似をされていると不快に感じられたりすることがあります。
「この秋に京都に遊びに行って、たくさんの名所を巡ってきました」と言われたとします。
A「そうなんですね」
B「京都に行って、たくさんの名所を巡ってきたんですね」
C「京都に行って、有名な場所をたくさん見てこられたんですね」
AとBは相手の言っていることをただ繰り返しただけですが、Cは少しだけ変化をつけています。こうすることで、相手が自分の話を聞いてくれているのだなと思ってくれます。
ミラーリング効果
まず、相手の話を聞くときに、相手の呼吸に自分の呼吸を合わせます。
その後で、さりげなく、相手の声のトーンや口調、しぐさなどをまねてみます。自分が相手の鏡になったつもりでやります。
こうすることで、潜在意識の中で、相手との関係を築くことができます。
オープンクエスチョン
相手がどのように感じているかを知りたいときに、自分の聞きたいことではなく、相手がどう思っているかを質問するやり方です。
具体的には、「あのラーメンおいしかったね?」と言われると相手は、ラーメンをおいしいと言うしかなくなりますが、「あのラーメンどうでしたか?」と言われると、ラーメンについての話がはずみます。
相手の目を見て話す
相手の目を見て話すことで、相手の気持ちの動きがよくわかります。それに合わせて話を進めることが可能になります。
しかし、目を見て話すことが苦手な人も多いと思います。そんな時は、目ではなく、鼻を見ることに意識をけましょう。
それだけで、目を見て話していると相手は錯覚してくれます。
相手のペースに合わせる
ミラーリングに似ていますが、相手の話し方だけでなく、相手のペースに合わせて話をすすめます。相手との信頼関係を築くために必要です。
自分のペースに合わせてもらう
信頼関係ができている相手は無意識に自分に合わせてくれるようになります。こうなると、自分が主導権を握ることになり、自分のペースに合わせてもらうことができます。
たとえば、速いテンポで話をする相手でも、信頼関係が築けると、こちらのテンポに合わせて、少しテンポを遅らせてくれるようになります。こうして、意図的に相手のペースを自分に合わせてもらえるようになります。
相手の状態より少し上の状態になる
相手が悲しそうなときは、相手よりも少しテンションを低くし、嬉しそうな時は、相手よりテンションを少し高くします。
こうすることで、相手は親近感を抱くことができます。
以上のことを試してみてください。スキルも大切ですが、その人と話をしたいという気持ちを持っていることが一番大切です。