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ダブルバインド(二重拘束)から抜け出すための心理的対処法

ダブルバインド(二重拘束)から抜け出すための心理的対処法

ダブルバインドとは「人間は2つの矛盾する命令を同時に与えられると、どうしてよいかわからず思考停止状態に陥ること」を表す言葉で、1956年、原因不明の精神病として、多くの医療者や患者とその家族を悩ませた統合失調症の発症メカニズムとして、人類学者グレゴリー・ベイトソンが提唱したものです。

現在では、ダブルバインド以外にも統合失調症の誘因はあるとして、この分野ではそれほど重要視されなくなりましたが、ダブルバインドの概念自体は様々な分野に応用できることから、心理学や経営学、自己啓発などの分野で活用されるようになりました。

よく見かける「相手に断られないダブルバインド的質問法」などは、オリジナルのダブルバインドの概念を、治療目的に改編した治療的ダブルバインドを、さらにキャッチーな場面に応用したものです。

そこで今回は、普段の生活で誰もが陥る可能性のあるダブルバインドの実例を示しながら、ダブルバインドの概要と、そこからの抜け出し方、対処法をご説明します。

 

ダブルバインドとは? 

ダブルバインドの最も身近な例としては、親子間のコミュニケーションが挙げられます。

例えば、台所で忙しく家事をこなす母親が、少し離れたところで寝転がりながらゲームをしている息子に「勉強しなさい!」と声をかけました。

いかにも忙しそうで、怒ってさえ見える母親の様子に、息子は嫌な予感を感じ、しぶしぶゲームを片付け勉強道具を取り出しました。

そうしておとなしく勉強を始めてすぐ、なぜか母親は先ほどよりさらにイライラした様子で、「あんたねえ、さっきからお母さんが忙しそうに働いてるのが目に入らないの! 家事くらい手伝いなさいよ!」と息子を怒鳴りました。

勉強しろと言われていた息子は混乱します。「母さんが勉強しろって言うから勉強を始めたのに、何で今度は勉強してることを悪いみたいに怒られなくちゃならないんだ! 結局俺はどうしたらいいんだよ!」きっとこんなふうに考え、活発な子なら、実際母親に面と向かってこう言い放つかもしれませんね。

この状況がダブルバインドです。 

状況を詳しく分析しましょう。

まず、母親はゲームをしている息子に対して、「遊ぶな、勉強しろ」という命令を出します。ところが、いざこの命令に従うと、「勉強するな、家事をしろ」という命令が矢継ぎ早に出されます。

つまり、最初の命令に従うと、息子には叱責と共に最初の命令とは矛盾する次の命令が下されることになり、息子は混乱に陥ります。しかしだからといって、最初の命令に従わなければ、この場合もおそらく息子は叱責されたでしょう。

ダブルバインドとは、「矛盾する2つの命令を同時に与えられることにより、最初の命令に背けば叱責される一方、最初の命令に従えば2つめの命令に背くこととなり叱責される。結局2つの命令を同時にこなすことは不可能となり、命令された側は混乱をきたす」という状況を指しているのです。

ダブルバインドは、このような一時的な状況のみで見られるものではありません。

「あなたの人生はあなただけのものよ」と言いつつ、「将来はお父さんの後を継いで医学部に行くのよね」と、自由な選択を促される一方で進路を強制されるような事例や、離婚などで「どちらを選んでも怒らないから、お父さんとお母さんのどっちについていくか決めなさい」と告げられ、いざどちらかを選ぶと、選ばなかったほうから怒られる一方、選ばなければ「どちらも選ばないなんて卑怯だ!」と怒られることも明白であるというような事例も該当します。

ビジネスシーンでの例としては、「このくらいでいちいち相談するな」と言われたので独断で進めた仕事を、後になって「なぜ相談せずに進めたんだ! もっと早くに相談しろ!」と叱責されるような事例が有名です。

いずれにせよ、ダブルバインドを受ける側にとっては、相手の言葉に従っても従わなくても不利益をこうむることになり、こうしたコミュニケーションが度重なると、ダブルバインドを受けた側は、

  1. 相手の言葉は信用できない。すべての言葉には絶対に裏があるはずだ。
  2. 言葉の裏を読むなんて無理だ。だからもう考えるのはやめて、相手の言葉通りにロボットみたいに振る舞うしかない。
  3. みんな無茶と嘘しか言わない、人間なんて信用できない、人なんて怖い存在だ!

というふうな思考パターンを身につけてしまいます。こうした思考パターンは統合失調症でも見られることから、ベイトソンはダブルバインドが統合失調症の発症にかかわっているとの見方を示しました。

 

ダブルバインドからの抜け出し方

2つの命令に共通するものを見つける

ダブルバインドにも様々な程度があり、あまり深刻なものは精神科医や臨床心理士などの手助けが必要になりますが、程度によっては自力で解決することも可能です。

すなわち「2つの矛盾する命令に隠された共通のメッセージを見つけること」です。 

先ほどの具体例に戻りましょう。忙しく家事をこなしながら、息子に「遊ぶな、勉強しろ」「勉強するな、家事を手伝え」と矛盾する命令を発した母親の、2つの命令に共通するメッセージは何でしょうか。

おそらく、「私が家族のために忙しく立ち回っている横で、あんただけ悠々と自分のことをするなんて!」です。

詳しい状況は不明ですので、これ以上の推測は不可能ですが、おそらくこの母親は、最初から息子に家事を手伝ってほしい、自分の負担を軽減してほしいと考えていたはずです。

しかし、母親であるという責任感からか、最初から息子に家事を手伝うよう命じることができなかった、あるいは、息子が勉強に励んでくれれば、自分ももう少し頑張れるように感じたのでしょう。

ところが、いざ勉強するよう命じてみても、自分の負担は軽くならない。ここへ来て初めて、母親は素直に当初の願望を口にしました。すなわち、「自分のことばっかりしてないで、私を楽にして」です。 

「あなたの人生はあなただけのものよ」と言いつつ、「将来はお父さんの後を継いで医学部に行くのよね」と言った母親も同様です。彼女が望んでいるのは、ただ自由な人生を生きる息子でも、ただ父の後を継ぐ息子でもない、父の後を自ら望んで継いだうえで、その選択に満足し、満ち足りた人生を歩む息子なのです。

離婚の例とて例外ではありません。「夫婦での泥沼の親権争いと、後に我が子から『お母さん(お父さん)が無理やり私を引き取った癖に!』と責められる可能性を同時に回避し、かつ子どもの意思を尊重する親という立場を守りたい」等の共通のメッセージを見出すことができます。

多くの場合、ダブルバインドをする側は自らの隠されたメッセージには気づいていないか、気づいていても隠し通そうとします。

ダブルバインドをされた側は、注意深く、2つの命令を同時に満たすか、あるいは2つの命令に共通するメッセージを抽出する必要があります。

 

共通のメッセージを叶えるか、放棄するか決める

共通のメッセージを見つけた後は、そのメッセージに従うか、従わないかを決めるだけです

しかし、「自分のことばっかりしてないで、私を楽にして」ならまだしも、「父の後を望んで継いだうえ、その選択に満足し、満ち足りた人生を歩め」「親権争いや子どもから恨まれる可能性を取り除いたうえで、親のメンツを保て」というメッセージは、そう簡単に叶えることはできません。

この場合は、何年にも渡る戦いを覚悟するか、進学や就職、結婚といった人生のイベントで、ダブルバインドを仕掛けてくる側から遠ざかるか、あるいは自らを犠牲にメッセージを叶えるかしかありません。

戦いの最後はハッピーエンドかバッドエンドかわかりませんし、ダブルバインドを仕掛ける人から遠ざかっても、それは一時的なことかもしれません。

自らを犠牲にすることは言うまでもありません。心身ともに厳しくなってきたら、無理をせず専門家に相談しましょう

 

「あの人は気まぐれな人」というレッテルを貼る 

そうは言っても、叶える叶えない以前に、共通のメッセージを抽出することがすでに難しいことです。しかし矛盾の中に長く晒され続けると、先に述べたような統合失調症に発現しやすい思考パターンを身につけてしまい、生きづらさを抱えてしまいます。

そこで、「あの人は言うことがコロコロ変わる気まぐれな人だから」「あの人は気分屋だから」と、相手の性格を「変わりやすい人」として定義してしまうのもひとつの手です

自分の思考パターンを変えてしまうと、すべての人に裏があるように思えたり、すべての人にロボット的に従うのが常になったりと、ダブルバインド的ではない通常のコミュニケーションにも支障をきたすようになってしまいます。

しかし、「あの人だけが特別に気分屋なのだ」と考えるのなら、すべての言葉に裏があるのでも、自分に裏を読み取る能力がないのでもなく、「あの人は気分屋だから、矛盾することで怒られることもある」と心構えをすることができるのです

 

まとめ

いかがでしたか?

現代社会は多くの人から余裕を奪い去り、ダブルバインドの生じやすい環境が整っています。ましてダブルバインドを仕掛ける側は、仕掛けられる側より立場が強いことが多く、抜け出すことは容易ではありません。

自分に一番無理のない方法で、ダブルバインドから抜け出しましょう。

 



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