仕事やプライベートで日々たくさんの人と会話をすることがあるでしょう。
営業職の人やチームで仕事をする人はもちろんのこと、パソコンに向かって一人仕事をする人であっても、買い物やタクシーを利用するときなど、人と会話をすることがあるでしょう。
そんな中で、「この人の話は面白い」「この人とは話がしやすい」というような人と出会っているのではないでしょうか?
話がうまい人とはどういう人なのでしょうか?
語彙が多い人?経験が豊富な人?頭の回転が速い人?
そうかもしれません。しかし、それだけでもないようです。
話がうまい人には特徴があります。その特徴を今回の記事ではお伝えします。
話し方よりも聞き方!?
話がうまい人の特徴の一つは、コミュニケーションの意味をしっかりと理解しています。コミュニケーションは、自分と相手の両方の存在があって初めて成り立ちます。
当たり前のようなことですが、話が下手な人、もしくは「この人とは話がしにくい」というような人はこのことを忘れがちなのです。
自分の話を聴いてくれる相手がいて初めて、会話が成立します。つまりは、話す事以上に、相手の話を聴くこと―これが大切になっていきます。
英語の“Hearing(ヒアリング)”と“Listing(リスニング)”は、両方とも「聞く」と訳されますが、実際には異なるニュアンスを持ちます。
簡単に言うと、日本語の「聞く」と「聴く」の違いです。
例えば、電車の中で回りの人の会話が無意識に耳に入ってくる。このような、自然に聞こえてくるというような状態は「ヒアリング」です。
一方、この人の話を聴こう、と自らの意志をもって行動する場合は「リスニング」の状態です。
話がうまい人は、一方的に自分の話をするのではなく相手の話を「聴く」ことにも重点を置いています。コミュニケーションは自分と相手の双方の関係によってはじめて成り立つもの。
相手の想いに心を向けて話をするという姿勢が、相手の話を「聴く」ということに繋がります。
私たちは誰もが「理解されたい」という承認欲求を持っています。一方的に豊富な知識や経験を話されただけでは、承認欲求はもちろん満たされません。
相手の話に耳を傾け、相手が伝えたいことをくみ取ってみてください。相手が、「この人は自分の話を聴いてくれている」と感じると、同じように自分の話もきちんと聴いてくれるのです。
ノンバーバル・コミュニケーション
コミュニケーションには2種類あります。
①Verbal Communication (言語コミュニケーション)
②Non-Verbal Communication (非言語コミュニケーション)
一つ目の言語コミュニケーションは、まさにその言葉通り。言葉を用いた通常の会話、コミュニケーションです。
もう一つの非言語コミュニケーションは、言葉以外のコミュニケーションを指します。例えば、顔の表情や声のトーン、仕草や服装なども非言語コミュニケーションに含まれます。
重要な点は、私たちのコミュニケーションの中で大切なことはこの「非言語コミュニケーション」の部分だということ―。
有名な心理学の実験結果によって導き出された「メラビアンの法則」というものがあります。
これは、アメリカの心理学者、アルバート・メラビアン(Albert Mehrabian)博士によって提唱されたもので、私たちのコミュニケーションにおいて、言語と言語外の影響を調べたものです。
メラビアンの法則では、言葉が約7%、言語外が約93%を占めると言われています。
つまり、コミュニケーションは、話の内容などの言語情報以上に非言語のコミュニケーションの部分が、相手に大きな印象と影響を与えているのです。
大半を占める非言語の部分は、
①見た目やボディランゲージ(約55%)
②声のトーンやリズム(38%)
この2つに分けられています。
目は口ほどにものを言うと昔から言われるように、言葉以上に印象づけているのが顔の表情やしぐさである、ということ。
話がうまい人は決して語彙が豊富であったり、説明の仕方がうまいと言ったような「言葉のスキル」だけではなく、それ以上に、視覚的なコミュニケーションにも重点を置いているのです。
アイコンタクト
非言語コミュニケーションの重要性にもリンクするものとして「アイコンタクト」があります。コミュニケーションの際に、相手の目を見て話をすることー。アイコンタクトを苦手とする日本人は多いかもしれません。
しかし、話をしながら携帯電話の画面ばかり見ていたり、どこか違うところ見ている相手と、心地よいコミュニケーションは取れません。
相手の目を見ることで、「あなたの話を聴いていますよ」という非言語のメッセージを送ることができます。つまり、アイコンタクトによって相手とのコミュニケーションを円滑にすることができるのです。
話のうまい人は、このアイコンタクトができています。相手の目を見て、「あなたに伝えたいことがあります」という非言語のメッセージを送ることができているのです。
ちなみに、アイコンタクトが苦手な人は、相手の目ではなく眉間のあたりを見たり、相手の瞬きの数を数えるのも効果的なようです。
ただし、相手の目を見ることに集中しすぎてしまうと、相手の話が耳に入ってこなかったり、睨みつけてしまうようになりがちです。
重要なことは相手に「あなたの話をちゃんと聞いていますよ」というメッセージを送ること。
『目を見る』という「行動」に気を取られず、相手とのコミュニケーションや会話を楽しむという本来の目的を忘れないようにすることが大切だと言えるでしょう。
まとめ
自分のまわりにいる「話がうまい人」を改めて観察してみてください。その人はどんなひとでしょうか?
同時に、上手く話ができるようになるには、やはり場数を踏むということも大切。その練習は日々の生活の中でいくらでも可能です。
何気ない友だちや同僚との会話を意識し、自分の非言語コミュニケーションはどう伝わっているのか、話上手な人はどのような話し方をしているのか、などほんの少し意識することで、今まで見えなかったことが見えてくるでしょう。
そこに何気ない『話し上手になれる』ヒントが隠されているかもしれません。