「三秒数えるとあなたは眠くなります。1、2、3、、、はいおやすみなさい」
こんなセリフをあなたも一度は聞いたことがありませんか?そう、催眠術でお決まりのセリフです。
握った拳が開かなくなったり、急に目の前の人を好きになったり、自分が動物だと信じ込んでしまったり。嘘か本当かはわからないけど、テレビで催眠術にかかっている芸能人たちを見ているとなぜか興味を持って見てしまいます。
催眠術が嘘か本当かという話はさておき、「かかりやすい人」と「かかりにくい人」がいるというのは割とよく聞く話です。
催眠療法を試そうとした人でも、「期待してたのに私全然聞かなかったんです!!」なんてことは少なくありません。
そんな時によく催眠術師が言い訳として使うのが「あなたが信じないからだ」とか、「潜在意識で信じてないからだ」といった理屈なんですが、、、
本当にそうなんでしょうか?
催眠術にかからない原因は、単純にかけられる人だけに原因があるのでしょうか。実は、それは違います。
催眠術というのはかかるまでに複数の条件が重なり合うことで、初めてかかります。
ということは、それらの条件の中に一つでも当てはまらないものがあれば何度やってもかからない、ということが起きてしまいます。
仮に催眠術を受けている人が「催眠術にかかりたい!」と熱望していたとしてもです。
今回は、催眠術にかからない原因をご紹介します。
不安
催眠術にかからない原因のうち、かなり大きなウェイトを占めているのが「不安」です。
「本当に私でもかかるのかな?」「頭がおかしくならないかな?」「かかったところを他人に見られるの、ちょっと嫌だな。恥ずかしいな」といった感じで、催眠をかけられている最中に常に心に「不安」があると、催眠にはかかりにくいのです。
催眠術というのは基本的に人間の無意識の部分に働きかけることで徐々に支配権を奪って操作していくものなのですが、強い不安は、催眠術師が無意識の領域に働きかける上で、大きな障壁となってしまいます。
無意識の領域というのは、苦手な人を自然に避けたり、欲しいものを自然と見てしまったりなど、考えずに行動してしまう、脳が体に勝手に体に指示をだしているということです。
ほとんどの人は自分が望まない限り、私生活の中で催眠にかけられることはないため、不安になるのは仕方のないことです。
ただ本当にかかりたいと思うのなら、術師のことを信じて身をまかせるのが一番です。
猜疑心(さいぎしん)
不安に続いてさらに大きな原因となるのが、「猜疑心」です。
猜疑心とは、簡単に言えば「疑り深い」ということ。
「この人本当に信用できるの?」「本当に催眠術師??怪しいなぁ」「俺は絶対に催眠なんてかからないぞ」こんなことを思っていたら、そりゃかからないだろうなというのは素人目から見てもわかるはずです。
自分から術師との間に壁をはって、かからないようにしているに等しいわけですから、術師や催眠術自体に猜疑心が強い人はまず催眠術にはかかりません。
体調
三つ目は「体調」です。催眠術にかかるには心身が適度にリラックスしてる必要があります。
よく催眠術師がかける人に対して、「からだの力を抜いてください」「手をぶらーんとさせてください」と言いますよね。
あれは、術者が相手の無意識の領域に働きかけやすくするために、できるだけ相手を自然な状態にしているのです。
ですので寝不足だったり徹夜明けの場合は、術者の話す言葉自体をしっかり認識することができないことだってあります。筋肉がこわばりすぎて、うまく体をリラックスさせることができない、ということだってあるわけです。
不安や猜疑心があるかどうかという前に、「その日の体調が大きく影響する」ということをまず知っておきましょう。
集中力
そして最後は「集中力」です。一つ目から三つ目までの総合的なバランスによって集中力は大きく変わります。
どれだけ「催眠にかけられることに集中できているか」ということが最終的には一番重要な条件になってきます。
期待しすぎること
最後に、もう一つ催眠術にかからない原因があります。それは「期待しすぎること」です。
「催眠術にかかったら、超ポジティブ人間になれる!」「別人のように頭が良くなる!」「何もしなくても体が引き締まっていく!」「病気が治る!」などなど。。。
こんな風に催眠術に対して、過度な期待を持ってしまうのもいけません。
実際にそれで催眠にかかることに成功したとしても、事前にイメージしていた催眠の効果とのギャップで今度は逆に「かかっていない」と錯覚してしまうからです。
催眠をかかるためには、術者が相手の無意識の領域に働きかけるために、いかに両者が歩み寄れるか、そしていかに意識の壁を取り除くことができるかが、大事なポイントになってくるのです。
まとめ
以上が「催眠術にかからない原因」です。
まず大前提として、催眠術を学ぶ時には必ず出てくるキーワードとして「ホメオスタシス」というものがあります。すでに何度かご説明した人間の「無意識の領域」のことです。
生理学的にバランスをとろうとする傾向にある、という概念を示す言葉なのですが、このホメオスタシスがあるせいで、実は私たち人間には「催眠にかかっても戻ろうとする」という性質がもともとあるのです。
では、催眠術にかかりたくて仕方ない人はどうするのか?
これもすでにわかっていることなのですが、「催眠術にかかりたい」という気持ちが強すぎても逆にかかりません。
なぜなら人間の脳というのは基本的に意識と無意識が戦っている状態だからです。
普段何もしていない時は 意識:無意識=3:97 なのですが、「めっちゃ催眠術にかかりたい!!」と意識しすぎるとどうなるでしょうか・・・?
そうです。意識の割合が強くなってしまうのです。
無意識の領域に働きかけることで誘導していく技術が催眠術なんですから、当然の結果といえます。