自分自身の心をより良い方向へ導く方法「自己暗示」。
なりたい自分をイメージし、言葉などによって自らを誘導し、暗示をかけていくというもの。しかし、その効果は本当にあるのでしょうか?
今回は気になる自己暗示の効果を探ってみましょう。
脳は90日で生まれ変わる?
自分の意識に語り掛け、プラスの方向へ導く自己暗示は、イメージトレーニングのようなもので、すぐに効果が出るとは限りません。
それでは、どのくらいで効果が現われるものなのでしょうか?
一般的に言われているのは、3ヶ月ほど。つまり新しい思考や習慣などは、その変化を実感するまでに90日ほどかかると言われています。
「3分で変わる〇〇」「1日で変われる○○」というキャッチコピーの書籍をよく目にしますが、自己暗示・自己催眠に関しては一瞬にして変化があるとは考えないほうがいいでしょう。
逆に、テレビなどでよく見る「あなたは目を覚ますと犬になります」というようなショー催眠は、一瞬にしてその催眠をかけることができますが、催眠が解けるのもすぐです。
自分の心をより良い方向へ、考え方や捉え方を変えていくには、継続してその暗示をかける必要があります。
毎日繰り返すことができなくても、この3ヶ月は自分のために、暗示をかけている、という意識があるので、脳はその意識を感知しているので、その時点で少しずつ、少しずつ、じんわりと変化が起きているのです。
周りの変化を観察する
自分が何か変化したことに気が付くのは、わりと周りの人に言われて気が付くことも多いのではないでしょうか?そして、興味深いことに、自分の変化はまわりをも変化させます。
心理カウンセリングの現場では、周りの人を変えることはできない、ということを基本としているため、自分自身の考え方、捉え方を変化させるよう促します。
「自分が変われば周りも変わる」というのは、自分が変化した結果、同じことを体験しても以前よりその物事をプラスに受け取れるようになったり、対応できるようになり、まわりが変化したように感じることがあります。
自己暗示によって、プラスの方向に自分を導いていけたかどうか。
その効果は自分のまわりに見えてくるかもしれません。
周りの人の言葉や行動を客観的に観察し、そこに変化があったか、もしくは、捉え方が変わった自分がいるのか、ということを確認しているといいでしょう。
また、人間関係は大変面白いもので、自分が変わることで、その変化を敏感に感じとった周りの人が、自ら変化するというプラスの影響を生み出すこともあるのです。
目に見える効果にこだわらない
ダイエットの効果を実感することは容易です。体重が減った、ウエストまわりが〇センチ落ちた、洋服のサイズが変わったなど、目に見える効果があります。
しかし、心の変化は目に見えにくいもの。
つまり、自己暗示の効果は目に見えないもの多いのです。逆に目に見える効果の方が少ないのかもしれません。
何かにコミットすると、誰もがその効果を期待してしまうものです。しかし、その効果が目に見えるものばかりではないことも理解しておくと、気持ちが楽になるかもしれません。
「こんなに頑張っているのに!」と、もどかしい思いが増え、イライラしてしまったら本末転倒です。心をプラスの方向へ、という目的自体どこかに忘れてきてしまうことになります。
効果は目に見えるものという固定概念を捨ててみましょう。
感謝も忘れない
何をしても褒めてくれる親とどんなに頑張っても褒めない親。色々なタイプの親がこの世にはいます。
子どものタイプによって、褒められることで能力を伸ばす子どももいれば、ある程度厳しくすることで、悔しさから頑張って能力を伸ばす子どももいます。
あなたはどちらの子どもタイプでしょう?
自分自身を変化させるのは、簡単ではありません。もちろん、周りの人を変えるより、自分が変わることの方が楽ではありますが、安定・安全を好む人間にとって「変化」は挑戦かもしれません。
その挑戦に挑んでいる自分自身を褒めてあげることも効果を出せる大切な要素。
自分自身に「よく頑張ったね」「ありがとう!」と言葉をかける。1日の終わりにそんな言葉を自分にかけてあげる時間を作ってみるのもいいでしょう。
1日の行動や言動を振り返り、自分の理想とする自分に少しでも近づけていた場面があれば、その自分を褒めてあげるのです。
もしくは、あなたが後者の子どもタイプであれば、「あの時も、こういう行動もとれた」というように、ちょっと厳しくするのもいいのかもしれません。
つまり、「一人反省会」というところでしょうか。
それでもやっぱり、最後には「でもよく頑張った!」と自分を褒めて感謝してみてください。その行動により、より良い効果を期待できると同時に、現時点での効果も実感できるでしょう。
脳は変わる
「人間の脳はもともと変わることを支える力があることがわかっています」と脳科学者の茂木健一郎さんは言っています。
三つ子の魂100までという言葉がありますが、生まれてから3歳までの環境や教育、人間関係、しつけなどは、もちろんその人間のその後の人生に大きく影響していきます。
しかし、実は脳には変わることを支える力があります。
そのキーワードとなるのが「偶有性」というもので、半分は決まっているけれど、半分はどうなるかわからないということなのです。
脳の持つ「偶有性」によって、人間は生きる限り変わることができるということなのです。そして、自分の脳はその変化を応援してくれる、心強い存在だということです。
まとめ
大切なことは、自分が本当に変わりたいと望み、さらにそれを意識して継続的に自己暗示を行うこと。
その効果は目に見えるものばかりではないかもしれませんが、自分の心に語り掛け、小さな変化を感じ取れるようになれると、より変わることが面白くなるのではないでしょうか。