以前に、「話を聞かない男、地図が読めない女」という本が話題になりました。
男女の考え方や物ごとの捉え方、行動などの違いに注目したもので、世界22か国で出版され、ベストセラーになった本です。
世界中で注目をされたという事から、このテーマに対して世界中の誰もが興味を持っていたという事が分かります。
この本の副題である『男脳・女脳が「謎」を解く』というその一文は、世界中の人の心をドキっとさせたのではないでしょうか。
男脳と女脳
男女の体の違いは明らかです。男性は女性よりも身体が大きく、筋肉質。女性は、男性に比べて背が低くめで体のラインも細いでしょう。
もちろん、女性のようにきゃしゃな男性もいますし、男性のように筋骨隆々の女性もいますが、大抵の場合、後姿からでもその性別を判断することができるでしょう。
しかし、私たちの脳は頭皮に守られていて、一見男女の違いを見ることができません。
だからといって、その作りは同じではなく、男性と女性によって脳の構造はだいぶ異なるようです。
1980年代の後半から、この「男女脳の違い」に関する研究が盛んになりました。脳のスキャン装置の開発により、人間の脳を生きたまま観察することが可能となったのです。
その結果、それまで解明されていなかった男女脳の違いが少しずつ明らかになってきました。
男女の脳は違う。では、その違いはどこで生まれたのでしょう。
それは、私たち誰もがその過程を通っているものの、記憶のない頃のこと。まずは男脳・女脳の始まりを少し見てみましょう。
男女の違いを決定するものは「染色体」です。
その始まりは、母親の胎内に新しい命が宿った瞬間。卵子にY染色体をもつ精子が受精すれば男の子、X染色体を持った精子が受精すれば女の子となるのです。
その受精卵は細胞分裂を繰り返し、妊娠から2か月後ごろ、男脳・女脳の違いとなる働きが胎児の中で始まります。
それはホルモンシャワーと言われるもの。「男の子の体はY染色体によって性腺が発達し、男性ホルモンが分泌されます。
そして、脳は男性ホルモンの一種テストステロンのシャワーを浴びることで、女の子と同じ脳から、「男性脳」になっていくのです」。
このホルモンシャワーは女の子の脳内でも起きていますが、その量はごくわずかなようです。このホルモンシャワーにより、男の子の左脳は抑制され、右脳は反対に大きくなります。
ここで、明らかな違いが男女の脳の中で生まれるのです。
右脳は感覚駅能力、左脳は理論的能力を司ると言われています。
男脳はこの両方を上手く使い分け、1つの事に集中して取り組み傾向があり、その一方、女脳は右脳と左脳の情報をバランスよく行き来させ、一度にいくつものことを並行して行ったり、考えたりできると言われ、コミュニケーション力が高いと言われています。
これは、左右の脳を繋ぐ「脳梁」の形や構造が男女によって異なることから、それぞれの脳の使い方によって、その行動や能力が異なるものだと言えます。
男脳の3つの特徴
体内での成長段階で男脳と女脳が作られました。
しかし、それだけが脳の特徴を作り出したのではなく、生まれた後の環境や様々な人との関わりなどによって、それぞれの脳が成長していきます。
そこには個人差があり、「男脳はこういうものだ」と、断言はできません。しかし、その点を踏まえた上で、一般的に言われている「男脳」というものを見ていきましょう。
1.男脳は単刀直入
2.男脳は一点集中型
3.男脳は空間認知能力が高い
1.男脳は単刀直入
男性と女性の行動の違いの一つに「話し方」があります。
これは男性を思い浮かべるよりも、逆に女性の会話の仕方を思い出してもらえると理解しやすいかもしれません。一般的に、女性は遠回しな話し方が多く、同時に男性に比べ話すことが大好きな人が多いです。
一方、男性は言葉短く、単刀直入に、そして論理的に話をします。
要点を押さえ、結論をはっきりと述べるので、伝えたい内容が明確。これは男脳の大きな特徴で、明らかに進化の過程で男脳が習得してきたものだと言えるでしょう。
実は、男性が話をするときは左脳しか使っていないことが分かっています。また左脳の中に言語を専門に担当する部分があるわけではないことから、男脳は基本的に話をすることを苦手としていることが分かります。
狩猟を自身の役割としてきた男性は、言葉以外の合図などを用いて、物音をたてず獲物に近づき獲物をしとめる必要もあったでしょう。
逆に女性は、家を守り、子どもに言葉を教え、周りの女性たちとコミュニケーションを取り、より生活しやすい環境を作る役目がありました。
この背景からも、男脳が必要としたのは単刀直入に必要なことのみを伝えるという能力だったと言えるのです。
ちなみに、ある調査では女性は一日に平均600~8000語の単語をしゃべり、その他言葉にならない声や音、顔の表情や頭の動きなどのボディランゲージを含めると、1日平均二万回もコミュニケーションとしての言葉を使っているようです。
男性は、その3分の1、平均7000回…。
この大きな違いは、1日働いて疲れて帰宅した夫に、まくしたてるようにマシンガントークをする妻を容易にイメージできるでしょう。
でも、男性の方は安心してください。女性は単刀直入に話す能力には長けていないものの、この1日2万回のノルマに達すれば、安心して大人しくなるはず。
無理して会話を成立させようとして自分の話を入れ込む必要はなく、ただただ相手の目をきちんと見ながら、話を聞いてあげていればいいのです。
2.男脳は一点集中型だと表現される。
右脳と左脳をつなげる脳梁。男脳の脳梁は棒状で女脳の脳梁よりもやや小さいと言われています。
そのため、男脳は左右の連絡が悪く、逆に細かく仕切られているため、一つの仕事を集中して行う特徴があります。
テレビを見ているときに電話がかかってくると、テレビの電源を切ったり、ボリュームを下げる男性がいます。
女性から見ると、その行動は気が利いていて、なんて親切な人だろうと感激するかもしれませんが、男性としてはテレビを見ながら、電話で会話をするという二つのタスクは成りたたないのです。
また新聞や本を読んでいる男性に、横で何か話しかけたとしてもそれは一切聞いてもらえていないと思った方がいいです。
赤ちゃんをあやしながら料理を作り、電話で人の悩み相談をするようなマルチタスクは女脳だからこなせる業だと言えでしょう。
3.男脳は空間認知能力が高い
これがまさに最初にあげた本のタイトルにもある「地図が読めない女」とリンクします。男脳は、女脳と違い空間を認知する能力が高いです。
一般的に女性は、地図を自分の進行方向に向き変えないと場所を把握できないことが多いです。一方、男性は狩猟者として長い進化の過程でその能力を身に付けてきたといえます。
男脳は物を立体的に把握でき、対象物の形、大きさ、空間に占める割合、動きや配置などを認知できる能力―つまり空間認知を得意とするのです。
獲物への距離や道具を使って獲物をしとめる場合に必要な力、獲物に追いつくためのスピードなどは、男脳に必要不可欠なの能力だと言えます。
助手席で地図やスマホをクルクルと回転させながらも、うまくナビができない女性がいたら、それは女性らしさだと理解し認めてあげることで自分のイライラは軽減するでしょう。
一説では、女性は男以外の生き物を追いかけたことがないから、空間認知能力が劣っているとか…。そういう意味では女性も一途な・・・一点集中型なのかもしれません。
混乱と幻滅から逃れよ
男女の脳はこうも違うのです。構造が異なるのであれば、そこに違いがあって当たり前。
それを無視して、「相手に理解してもらいたい」「なんでわかってもらえないんだ」というのは余計に自分をイライラさせるはず。
そもそも、私たち人類の歴史がスタートした時から、男女の役割は異なるものでした。男は狩りをして、女は子どもを産んで家を守る。
その役割に合わせ、私たちの脳も進化を続けてきたことを認めてしまいましょう。「話を聞かない男、地図か読めない女」の著者、アランとバーバラは、著作の中でこんな風に言っています。
男女の役割の違いから進化した男女脳の違いを見てみぬふりをするのは「あなたの人生は悩みと混乱が支配し、幻滅ばかりすることになるだろう」と。
同時に、現代社会のおける男女の役割は大きく変わってきたともいえるでしょう。男脳、女脳の特徴をそれぞれが持っていたとしても、社会の変化によって成長過程の環境は昔と違います。
男性だけが社会に出て働くのではなく、女性だけが家で育児と家事をするのではなく。
この多様化した社会の中で、男女の役割もその能力も大きく変わってきていることは誰もが感じていることでしょう。
つまり、「男だから~」「女だから~」ではなく、それぞれの持つ能力をお互いが認め合い、助け合うことで、より楽しい人生を切り開いていけるヒントがそこに隠されているのかもしれません。
誤字や誤った記述が多いです。右脳と左脳が反対になっていたり…
直して頂けるとありがたいです。