「女性脳」「男性脳」という言葉があります。
その言葉通り、女性と男性は脳のつくり自体が異なります。そのため、外部で起きていることへの対応や物事の捉え方、感じ方、考え方などは、男女によって脳の働きも違ってくるのです。
そのためなのか、男性は女性を、女性は男性を理解することがなかなか難しいと。「女性は理解できない」と世の殿方は言うかもしれませんが、実は女性自身も、自分の心理がよく理解できないことも…。
そもそも「〇〇の心理」という言葉自体よく聞くようになりましたが、この「心理」という言葉は、「心の働きやありさま」「精神の状態」を指すものです。
つまりは人間の無意識の部分で、それをコントロールすることは困難でしょう。女性自身でも、どうしてそんな風に心が働くのかー、どうしてこういう精神状態なのか、というのは男性同様理解しにくいはずです。
女性にとっても不思議な「女性の心理」。それを少しでも理解できるように、まずは男女の脳の違いを覗いてみましょう。
そこに小さなヒントがありそうです。それが分かれば明日から、男性は女性の事を、女性は自分自身のことを、少し理解できるようになるかも?
そもそも脳のつくりが違います
「女性の心理」は理解できない、と言われる背景には、男女の脳の作りに理由があるようです。
男女の体の作りは明らかに違います。それは外見から洋服を着ていてもある程度判断できるものですが、脳は外から見てもその違いを見ることはできません。
しかし、実際に脳を直接見ると、その違いはハッキリと分かるようです。
たとえば、脳の大きさも重さも違います。
そもそも男性の脳のほうが女性の脳より大きくて重いのです。数字的に表現すると一般的に女性の脳の方が、男性の脳よりも8%小さいと言われています。
しかし、女性の脳は高度に網羅した神経細胞によって、少ないエネルギーで能率的に仕事をこなすことができます。
また、脳の構造も異なります。右脳と左脳の間に脳梁(のうりょう)という部分があります。
これは、左右の脳の橋渡しをしていますが、その脳梁の形と大きさも男女によって異なります。一般的に、女性の脳梁の方がやや球体となっていて、太めで、男性より20%大きい作りになっています。一方、男性の脳梁は坊城で細いと言われています。
男女間でよく起きる考え方のすれ違いは、こんな風に明らかに脳のつくりが異なるのであれば、それも致し方ないのかもしれません。それぞれの脳の働きの差異によって、男女の心理ももちろんちがってくるでしょう。
例えば・・・
女性の心理その1:「言わなくてもわかるでしょ」は、女性だけの特権!?
デリカシーのない言葉で相手を「カチン」とさせたり、約束事を守らなかったり、何かに対して怒っているのに、その思いが理解されない…。
「言わなくてもわかるでしょ!」
女性なら誰もがそんな思いを一度は経験しているはず。
その心理は、人間が誰もが持っている「承認欲求」=「自分を理解してもらいたい」という思いもありますが、同時に、「言葉にしなくても感じ取れるはず」という相手への思いでしょう。
でも、男性は言葉にして言わないと、わからないのです。先にあげたように男女の脳のつくりは明らかに異なります。
脳の構造的に、女性の方が感情を読みとる能力が長けています。 脳の中で、感情や記憶を司る「大脳辺緑系」は男性脳より、女性脳の方が活発であるため、女性は相手の表情などから感情を読み取ることを得意とすると言われています。
母親が、泣いている赤ちゃんを見て、お腹が減っているのか、おむつが濡れているのかが分かったり、その状況に応じて、目を見て、その表情などから相手の気持ちを察することができるのも、このためだと言われています。
繰り返しますが、男性は「言わないとわからない」のです。
私たちはつい、自分ができることを相手もできると錯覚し、その行動や態度を期待してしまうものー。そして、その期待したものが得られなかったときに、私たちはストレスを感じます。
もちろん、期待に応えてくれるような男性もいますが、期待通りにならないことも多いはず。
もしあなたが、「言わないとわからない」相手にイライラするタイプの女性なら、感情を読み取れる能力に長けている自分に自信を持ち、その能力を「女性の特権」と捉えてみてはどうでしょう?余計なイライラも消える上に、女性である自分をさらに誇りに思えるはず!
女性の心理その2:「生きるためによくしゃべる!」
一般的に女性はよくしゃべり、男性は女性に比べると言葉数が少ないと言えるでしょう。
女性は場所を忘れ、時間を忘れ、ただひたすらしゃべり続けられるのが女性。男性から見れば、何時間もお茶をしながらしゃべり続けている女性の心理は理解できないでしょう。
しかし、女性たちがよくしゃべるのにはきちんと理由があります。そもそも私たちの身体は、長い進化の過程で生き残るために身体が変化してきました。それは脳も同じです。
狩猟時代、男性は食糧を得るために狩りに来ましたが、女性は留守を預かり、同じ留守仲間の女性たちとコミュニケーションを取り、共同体の調和を図ってきました。
そのために必要だったのが、「コミュニケーション能力」です。まわりと会話をし、子どもに言葉を教え、人と思いや意見を聞き。これは女性が進化の過程で生きていくために身に付けた能力でもあるのです。
逆に、猟に出て獲物を取っていた男性には「空間能力」が発達したと言われています。
つまり、女性はただ単に時間つぶしで井戸端会議をしているわけではないのです。女性の脳の特徴の一つ、「言語能力に優れている」という点も、このために発展したと考えられるでしょう。
脳の構造の違いであげた「脳梁の形と大きさ」は、この働きを証明しています。女性の脳梁が大きく太いことで、女性は会話をするときに、左右両方の脳、つまり脳全体をつかい会話していることが分かっています。
一方男性は、脳梁が細めにできているので多くの場合言語中枢がある左脳を中心として使用しているのです。結果、男性は理論的に、女性は幅広く余分な話まで広がっていき、余計に話が増えていくようです。
おしゃべりについつい時間を費やしてしまい、仕事や作業が進まないという女性も多いはず。でも、それは太古の昔から女性の大切な役割でもあったようです。
もう少し無駄なおしゃべりを控えよう、と意識することもひとつ。でも、同時に女性の脳は複数のことを同時進行できる脳でもあるようです…。
「女性の心理」はやっぱり複雑?
脳の構造が異なり、それぞれの特徴も異なるとなれば、やはり男女がお互いの心理を理解することは困難かもしれません。
一般的に「女性の心理は複雑」と言われがちですが、「複雑」だと表現されるのはきっと、特定の行動や言動、考え方の理由が明確ではないから。自分で理解できない不明確な事柄に対し、
「複雑」という言葉で表現するのは、理論的に物事を表現したい男性ならではの言葉かもしれません。
でも、女性は女性の、男性は男性の役割を持ち、長い時間をかけて進化してきたのです。お互いの異なる役割があるのですから、違いを理解しようと躍起になるより、単に受け入れればいいのかもしれません。
人間の進化の歴史にロマンを感じ、思いをはせてみてください。
壮大な歴史の時間の中で見れば、相手を理解できないイライラはなんてことないのかもしれません。といっても、そんな感情的な解釈で物事を捉えるのも、女性ならではの解決策かもしれませんが…。