ミラーリングという言葉は、最近恋愛テクニックなどで、テレビや雑誌に取り上げられたりしていますので、聞いたことがある人も多いかもしれません。
簡単に言うと、相手と同じ動作をすることで、相手に親近感や好意を抱かせるといった方法のことを指すことが多いのですが、このミラーリングの本来の意味、メカニズムや注意点について説明していきましょう。
ミラーリング効果とは?
「カップルは付き合っているうちに段々似てくる」や「夫婦の顔が似てくる」、「ペットと飼い主が似てくる」といったことを良く耳にします。
「ミラーリング効果」とは、「人は好意を抱いている相手や、親密な相手に対して、無意識に同じ行動をとる傾向がある」という現象のことです。
鏡(ミラー)のように、相手のまねをすることからミラーリングと呼ばれます。
これは、人が潜在意識的に、好きな人との同一化を望むことが原因と考えられており、相手の仕草を真似する行為は、相手に対する尊敬や好意を表現しているとされています。
逆に真似されている側からみると、その行動は自分に対する尊敬や好意と認識されるため、「自分と似た行動をとる人」=「仲間、味方」という意識が生まれやすくなります。
こういった潜在意識的な働きによって、人は自分と似た人を好きになる傾向があることを利用して、相手の行動を真似ることで、相手に身式に親近感を抱かせよう、というのがいわゆる心理テクニックなどで言われている「ミラーリング」ということなのです。
ミラーリング効果を活かす5つの方法
では実際に、「ミラーリング効果」を使って人と仲良くなるための方法について、考えてみましょう。
ミラーリング効果を活かす方法1: 何を真似するか
相手の行動すべてが「ミラーリング」する対象とすることができます。
相手の姿勢、座り方、足の組み方、身振り手振り、仕草などの動作だけでなく、表情、視線、声のトーンやリズム、感情や呼吸、瞬きといった無意識の動きも対象となります。
感情のミラーリングであれば、例えば相手が喜んでいるときは自分も喜び、悲しんでいれば自分も悲しむ、といった感じに相手の喜怒哀楽に合わせるといったものの他に、テンションを合わせることで共感している状態を作り出すこともできます。
昔からある表現で「息を合わせる」といった言葉がありますが、呼吸などの生理的なリズムを合わせると、お互いに心地よい状態を作ることができます。
ミラーリング効果を活かす方法2: 相手に気付かれない
前述の通り、「ミラーリング効果」とは潜在意識化の働きです。
そのため、真似されていることに気付かれては意味がありません。むしろ不快感を与えたり、警戒心を抱かれてしまう恐れがあります。
それこそ「好かれようとしてわざと真似してる」と思われてしまったら、帰って逆効果です。
「ミラーリング」するときには、相手に気付かれないようにさりげなくすること、やり過ぎないことが重要です。
ミラーリング効果を活かす方法3: 動作を変えてさりげなく
相手の真似をするといっても、そっくりそのまま真似しなければいけないわけではありません。
例えば、相手がカップを口元に運んだら手で顔を触る、足を組んだらこちらは交差させるといったように、似たような行動をとることでも十分効果があります。
先にも挙げた、テンションを合わせたり、相手が身振り手振りを交えて話しているのであれば、こちらも話すときに身振り手振りを交える、といったやり方でも効果があります。
この様に直接真似るのではなく、さりげなく似た行動をとる方法を「クロスオーバーミラーリング」と言います。
ミラーリング効果を活かす方法4: 相手と逆の動作を混ぜる
相手の動作の逆の動き(相手が指を組んだらこちらは広げるなど)を時折はさむことで、より効果が高まるという報告があります。
これを「相補的ミラーリング」と言います。
ミラーリング効果を活かす方法5: 相手がこちらを見ている必要はない
何度も言いますが、「ミラーリング効果」は、相手の潜在意識に働きかけるものです。
そのため、相手がこちらの行動を見ている(意識している)必要はありません。
相手の潜在意識に届いてさえいれば、相手がこちらの行動を意識していない方が良いといってもいいかもしれません。
まとめ
「ミラーリング」が、相手との関係を築くためのテクニックとして有効だとしても、そればかりに集中するのはあまりお勧めできません。
あくまで信頼関係というのは、本来、実際の会話の内容や行動によって築かれるものです。
「ミラーリング」というのはあくまでテクニックのひとつにすぎません。
相手との信頼関係を築く上で、一番大事なのは相手に対する気持ちや誠実さであって、自分の気持ちにしたがってコミュニケーションをとり、相手に真摯に向き合うことが重要です。
「ミラーリング」はそれを少し潤滑にするための補助的なものということを忘れないようにしましょう。