そもそも催眠とは何でしょう?
こういう話をすると、決まって文句を言う人がいます。
「そんなことはいいから、早く催眠のかけ方を教えろ!」と。
催眠のことをよく知らなかったら、私も同じように文句を言っていたかもしれません。理屈はいいから実践だと。
しかし、催眠術をかけるにあたって、じつは催眠の原理や理屈を知っておくことがいかに大事であるかということを、まず皆さんに知ってもらいたいと思います。
というのも、単に催眠術をかける言葉を丸暗記したとしても、その原理や理屈を知っているといないとでは大違いだからです。
そもそも催眠術をかける場合、相手は皆一様ではありません。
相手のタイプによってかけ方は違ってきますし、催眠の原理や理屈を知っておくことで、あらゆる状況に臨機応変に対処することができるようになります。
また、催眠に興味を持ってもらうためにも、その原理や理屈を話せないようでは女の子に信じてもらえません。バカにされる可能性もあります。
急がば回れ、ではありませんが、催眠とはどういうことなのかをまず知ることが、結局は催眠術をマスターする近道となるのです。
では、今回は「催眠術」にかかった相手はどのような状態になっているのかを、催眠術の原理を交えながらお伝えしていきます。
この基本的な部分が分かると、どうしたら催眠術を上手くかけれるようになるのか、ハッキリと頭で理解できるようになります。
そして、催眠術習得のスピードが確実に加速するので、必ず抑えておきましょう。
自我の境界線
催眠術は小さい子どもにはかかりません。小学3年生ぐらいになって、ようやく催眠がかかるようになります。それはなぜかというと、催眠術がかかるために必要な三つの要素が子どもには欠けているからです。
その三つとは、
①理解力
②素直さ
③集中力
です。
子どもは素直かもしれませんが、こちらの言葉をすべて理解できるわけではありませんし、あまりじっとしていられず、集中力もありません。
小学3年生ぐらいから、ようやくこれらの条件を満たすようになってきて、それではじめて催眠術にかかるようになります。
もちろん、大人になっても、この三つが欠けている相手に対しては、催眠術をかけようと思ってもかかりません。いくら理解力があっても、集中力のない人や素直でない人にはかからないのです。
とはいえ、言葉を覚えはじめた3歳児ぐらいに対しては、別に催眠をかけなくても、こちらの思い通りに誘導することはできます。
それは善悪の判断をする理解力や「イエス」「ノー」を言う判断力がまだ充分に備わっていないからです。
じつは人間の脳というのは、「表面意識」を司る部分と「潜在意識」を司る部分に分かれています。
表面意識とは、意思決定や行動パターンを考える部分で、顕在意識とも呼ばれており、潜在意識とは、記憶や感情などのデータベースの部分、つまり本能のことです。
しかし、産まれたばかりの赤ちゃんには、ものごとを判断できる表面意識がなく、潜在意識だけしかありません。
それゆえに、眠いと感じれば、ただ眠り、オシッコがしたいと思えば、我慢することなくその場でしてしまいます。ある意味、本能のまま振る舞います。
ところが、日が経つにつれて、赤ちゃんにはどんどん新しい情報が入っていきます。
お腹が空いたときに「オギャー!」と泣けばミルクをもらえるとか、「マー君」と呼ばれているがそれはどうも自分のことらしいとか、歩けるようになって階段から落ちて痛い思いをすれば、階段は危険なものだと分かるとか。
赤ちゃんは、こうした新しい経験を次々と体験することで、その情報が潜在意識の中に蓄積させていき、そのことによって、ものごとを判断する基準を自分の中に作り上げていくのです。
つまり、「イエス」「ノー」をはっきり言えるようになっていきます。
こうなればもう、オシッコがしたいというだけで、その場でオシッコをしてしまうようなことはしません。お腹が空いても我慢することも覚えていきます。
これが表面意識です。
この表面意識があるおかげで私たちは、ものごとを判断し、行動を起こしたり、逆に行動を制御したりできるというわけなのです。
そして、この表面意識は、赤ちゃんが成長するについてどんどん増えていき、ようやく小学3年生ぐらいになると、本能(=潜在意識)を覆うようになり、境界線が完璧に出来上がります。
それは脳みそが大人になったということに他なりません。
じつは、この表面意識と潜在意識の境界線のことを「自我の境界線」というのですが、催眠とはまさにこの自我の境界線を消すということなのです。
3歳児の脳みそ
催眠とは自我の境界線を消すことだと説明しました。それでは、催眠によって自我の境界線が消されると、どうなるのでしょうか。
答えは、潜在意識がむき出しになるということです。
潜在意識とは、本能と言い換えることもできますが、産まれたばかりの赤ちゃんのようなまっさらな意識といってもいいでしょう。
つまり、「イエス」「ノー」を判断できるような表面意識がなく、すべての情報をそのまま受け入れてしまう状態のことです。
こういう状態になると、例えば、「リンゴは四角い」という情報を与えられれば、本人はその通りのことを受け入れてしまいます。
私たちは「リンゴは丸い」ということを経験上、知っており、そのことを表面意識で記憶しているのですが、この表面意識がなくなってしまうと、それまでの経験値が脳に対してまったく影響しなくなり、まっさらな潜在意識だけがむき出しになるので、「リンゴは四角い」という新しい情報だけを脳が受け入れてしまうのです。
こういう状態は3歳児の脳みそと同じともいえるでしょう。
言葉を覚えはじめた3歳児ぐらいに対しては、別に催眠をかけなくてもこちらの思い通りに誘導することができると先に述べましたが、3歳児の脳は表面意識より潜在意識の方がまさっているからに他なりません。
催眠とは、自我の境界線を消すことで表面意識をなくし、潜在意識をむき出しにさせることで3歳児の脳みその状態にすることだともいえるでしょう。
こうなると、「イエス」「ノー」という正しい判断ができませんから、本来は甘いお菓子でも「これはからいです」という暗示を与えてやると、本人は素直にそれを受け入れ、本当に「からい」と感じるようになります。
それこそ、それまでは恥ずかしくて出来なかったことでも、命令されればまったく恥ずかしさがなくなって、それを行動に移すことができるようになります。
これが催眠の状態です。
その結果、自分を好きにさせたり、性的快感を与えたりすることも可能となるばかりか、こちらが思った通りに操ることもできるというわけです。
このとき誤解しないでほしいのは、脳みそが3歳児のものになったからといって、身体も3歳児になるというわけではないということです。
もし催眠をかけた女性が20歳なら、身体は20歳のままです。ですから催眠に入っても性的興奮を与えれば興奮しますし、エクスタシーも感じるというわけなのです。