『人をあやつる心理学』というと、何か悪いことのように聞こえがちですが、人間関係をよくするための心理学があります。
人間は、自分は自分の考えだけで、意思決定をして、行動していると思いがちです。外から見てもそう見えます。しかし、「心理学」は、私たちがわからないように、私たちの行動に考えに大きな影響を与えています。
それを使うことによって、恋愛においても、仕事においても、自分が望むように相手を動かすことができます。また、普段の生活の中での不利益をなくすこともできます。
どんな「心理学」なのでしょうか?
①ピグマリオン効果
これは、教育の現場ではよく知られた効果です。人は期待された通りに成果を出す傾向があるという現象です。
たとえば、実際には成績でクラス分けをしていない二つのクラスを作ったとします。成績上位のクラスの担当者に、その生徒たちは優秀だと伝えます。その教師は優秀な子供たちに期待をします。その期待に答えたいと子供たちが努力をします。
結果的には、成績がそのクラスの方がみるみる向上しました。こんな風に、相手に期待することで、相手が実際よりも成果を出すということです。
②アンダーマイニング効果とエンハンシング効果
アンダーマイニング効果は、自分から進んでやり始めたことに対して、後からご褒美を与えられると、それにより、やる気を失ってしまうということです。
たとえば、勉強をやり始めたことに対して、後からお小遣いをあげた場合、やる気を失ってしまって、お小遣いをもらわなければやらないという状態になってしまうことがあります。
エンハンシング効果はこれとは逆に、何かをしたことで、後からご褒美を与えられたことで、やる気がもっと出るということです。頑張って練習して、優勝すると、次はもっと頑張ろうという気持ちになります。
この二つは、どちらがいいかは、人によって異なるため一概にはいうことができません。ただ、一般的には、お小遣いや商品といった物質的なご褒美はアンダーマイニング効果、褒められる認められるといった精神的なご褒美はエンハンシング効果を起こしやすいと言われています。
③バンドワゴン効果
あることが、たくさんの人々に受け入れられているということを知らされると、人間はそのことに対して支持する可能性が高くなるという現象です。簡単にいうと、人は流行に流されやすいと言うことです。
よく知られた効果でのようですが、実際はこれに多くの人が影響を受けています。たとえば、わざわざお金でサクラを雇い、フェイスブックなどで支持されているように見せかけることで、それがいいものだと判断してしまったりします。
④サブリミナル効果
これは、メディアにも取り上げられているので、ご存じの方も多いと思います。
映像の中に人が認識できないくらいの短い瞬間において、本編には関係のないイメージを混入させることで、その映像を見ている人の潜在意識に影響を与えるというものです。
⑤気分一致効果
人の感情と思考に関する効果で、気分がいいとき人は物事を前向きに、プラスにとらえやすくなるが、反対に気分が悪いときは、物事を悪い方向へ、マイナスにとらえやすくなるということです。
よく例に出されるのがコップの水の問題です。コップの水が半分入っている場合に、半分しか入っていないと思うか、半分も入っていると思うか、その人の思考の違いが出てきます。
気分一致効果では、この思考の違いが気分によって変わるということを表しています。普段は半分も入っていると前向きに考える思考の持ち主であっても、気持ちが落ち込むような出来事が起きた後では、もう半分しかないという悪い方向に考えてしまいます。
この効果は、日常的にとても大切で、商談を持ちかけたり、お願い事をする場合は、相手の気分の良さそうな時に話をもちかけると、好意的に受け取ってもらえ、成功しやすくなります。
⑥バーナム効果
どの人にもあてはまるであろう曖昧なことを、自分にだけ当てはまっていると錯覚してしまう効果のことです。
「心に不安を抱えていますね」とか、「何かわからない寂しさがありますね」といった占い師の話には、この効果をつかったものが多く見られます。
その人の実力をよく見極めなければ判断を間違えてしまいます。
⑦スリーパー効果
初めは信じていないと思っていたことが、時間が経過することで、信用できると思うようになってしまう効果です。人間は信頼していない人の話は、なかなか信用できないものです。
しかし、その信用していない人の話を聞いているうちに、その話の内容と、その話をした人物のつながりに関しての記憶が曖昧になってしまい、最終的にはその内容だけが記憶の中に残ってしまうためこのようなことが起こります。
たとえば、ゴシップの記事などはこれにあたります。どれが本当なのかよく考えなければなりません。
⑧ハロー効果
一つすぐれていることがあると、他の面でも優れているのだろうと思い込んでしまうという効果です。
たとえば、有名タレントが宣伝すると、それだけでその商品がよいものだと思い込んでしまいます。
一つの面だけでなく、他の面でも優れていると思ってしまうのです。
⑨プライミング効果
それまでに経験した刺激によって、その後の判断が左右されてしまう効果です。
先にお手本を見せて、学習に役立てるというのは、この効果をうまく使っています。
⑩ロミオとジュリエット効果
名前を聞いただけで、想像できると思いますが、何かを達成しようと思うときに、多少障害があった方が、むしろ目標を達成しようとする気持ちが強くなるという効果です。
たとえば、品物を買う際に、購入数制限を書いておくのはこの効果を使っています。
まとめ
このように、たくさんの心理学の効果によって、人のこころは動きます。これらを使って人間関係をよりよくしてみてください。また、悪いことにひっかからないよう注意もできます。