あなたは学生時代あるいは会社の中で、一緒に仕事をしたり会話をしているときに
「君は根っからの理系だね〜」「あなたは本当に文系脳だよね~」
なんて言われた経験はありませんか?
最近では「理系」「文系」という言葉に「脳」がついて「理系脳」「文系脳」なんて言い方までされています。まるで相手を型にはめるかのように当たり前に使われていますよね。
そもそもあなたの脳はどっちの脳なのでしょうか?またどっちの脳の方が、得をするのでしょうか?
実はこの「〇〇脳」という言葉には多くの誤解があります。それを知らずに間違った解釈のままこの言葉を使っている恥ずかしい人がたくさんいるのです。
この記事ではそんな「〇〇脳」の中でも特に話題になることが多い「理系脳」について正しい知識をお伝えしていきます。もしかしたら文系だと思ってるあなたの脳も理系脳かもしれません。
そもそも「理系脳」って何なの?
日常生活のなかでこんな状況に遭遇したことはないでしょうか?もし思い当たる経験があれば、あなたは理系脳の可能性があります。
たとえば社内で説明を求められて、懇切丁寧に1から10まで説明をしてあげました。しかし、相手から返ってきた言葉が
「それで、結局私たちの仕事にどういう影響があるの?」「めっちゃわかりにくいんだけど」
「専門用語ばっかり使われてもわかんないよ!もっと素人にもわかるように説明して!」
冷たい返答だった経験はありませんか?
おそらく専門色の強い方やIT系のエンジニアの方にはよくある出来事だと思います。このように、一方は丁寧に説明しているつもりなのに、もう一方からするとかなりわかりにくいというケースは昔から多くの職場で起きています。
それは、考え方や思考のパターンが両者の間で食い違っているからです。こういった二つの系統を脳で区別した名前が、「理系脳」と「文系脳」というわけです。
一般的には、理系脳というのは「左脳」がより発達していて、文系脳というのは「右脳」がより発達している、と言われています。
- 理系脳=左脳によって論理的な情報処理を優先する
- 文系脳=右脳によって直感やイメージでの情報処理を優先する
というのが、「理系脳」「文系脳」に関する一般的な解釈です。先ほどの会社の例で言えば、理屈から入り専門用語もバンバン使って1から丁寧に説明しようとしてるのが「理系脳」の人です。
理系脳の人は、あとから文系脳にもなれる!
「○○脳」なんて言葉だけ聞くと、血液型のように一度決まったら二度と自分の意思では変更できないような印象を受けてしまいがちですが、実はそうでもありません。
理系脳の人に限っては後からでも文系脳になれるのです。
たとえば、医者になるためには理系脳が必要だということは議論の余地がないと思いますが、医者をやりながら文筆家として活動している人は、少なくありません。
もはや日本を代表する小説家となった東野圭吾さんも、大阪府立大学工学部電気工学科を卒業されています。
小説家として独立するまではいち技術者として自動車部品メーカーのデンソーで働いていました。
一方で、ガチガチの文系脳で生きてきた人が、「じゃあ君、今から医者になって」と言われて簡単になれるようなものではないですよね?
東大の医学部にいたっては、「あそこに受かるのはもう人間じゃない。宇宙人だ!」なんて言う人もいるくらい文系脳の人には理解できない領域なのです。
そう考えると、自分の人生の方向性によってあとから文系脳にも軌道修正ができる理系脳の方がかなりお得ですよね。
「理系脳」という言葉の間違い
ここで、「理系脳」「文系脳」という言葉について、正しい知識をお伝えしておきます。
結論からいうと、まず医療的観点から言えば、「右脳」「左脳」という言葉がありません。正式には右半球、左半球というのが正しい言い方です。
また、あたかもどちらか片方の脳が発達しているかのような気がしてしまいますが、それも脳科学的にはまだ証明されているわけではありません。
これに関しては、京都大学こころの未来研究センター上廣こころ学研究部門特定准教授の阿部修士さんがご自身のエッセイでこんなことを言っています。
「たとえば、私たちの体の左半身の感覚や運動は右半球が、右半身の感覚や運動は左半球が制御している。したがって何気なく散歩をしているだけでも、脳の両半球は相当に高いレベルで情報処理を行い、かつ協調している。私たちの日常生活は、どちらの半球も発達しているからこそ可能なのであり、どちらか一方がより発達しているという議論には慎重さが必要だ。」
簡単に言えば、右脳と左脳とが違いに補いあって成り立っているから、どちらか片方だけ発達してるというのはちょっとおかしな話ですよ、ってことですね。
まとめ 「理系脳」とは脳の種類のことではなく、あくまで思考パターンの傾向である
現時点で断言できることとしては、脳科学的には証明されていないが、あくまで思考パターンとして「理系の考え方の人」と「文系の考え方の人」の2種類の系統があるということです。
もしあなたが「論理力」「問題解決力」「推理力」「検証力」といった力に優れているとしたら、理系脳である可能性はかなり高いです。
両手を組んで左の親指が上に来たら理系脳だ、なんて説もあります。興味があればぜひ試しにやってみてください。