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【感情のメカニズム】すぐ怒る人の裏に隠れた本当の心理

【感情のメカニズム】すぐ怒る人の裏に隠れた本当の心理

Anger Management (アンガーマネージメント)という言葉があります。言葉通り、「怒りをマネージメントする」つまり、怒りを管理、コントロールする心理療法です。

1970年代にアメリカで始まったこの「怒りのコントロール方法」ですが、近年では世界中が注目し、日本国内でも盛んに取り入れられ、企業をはじめ、中学校などの教育機関でも活用されているものです。 

私たち人間は喜怒哀楽、様々な感情があります。遠い昔から、「怒り」という感情は誰もが持っているものなのですが、その感情をうまくコントロールできないと、まわりとの人間関係を壊したり、自分が自己嫌悪に陥ったりとマイナスに働くことも多いものです。

特に、些細なことですぐ怒る人は、まわりとのいい関係を続けていくことが困難な場合が多いでしょう。 

「怒りのコントロール」というものが重要視されている時代であるということは、それだけイライラすることが多い時代、ということかもしれません。

そんな時代の中で、この「すぐ怒る人」の心理とはどういうものなのか興味がわきませんか?自分自身やまわりの友だち、家族などを思い起こしながら、この「怒り」に関してちょっと探ってみましょう。 

 

「怒り」も大切な感情

「感情は、生き物が生きていくために身に付けた機能」と言われています。もちろん、「怒り」の感情もそのうちの一つ。

「怒り」の感情は「生死に直結する感情」とも言われます。その訳は、生死を左右するような「危険を察知する能力」「怒りの感情」に重要な結びつきがあるからです。

私たちは、脳の中にある「偏桃体」という部分で危険を察知します。危険な動物に遭遇したり、敵に攻められるなどの危険を察知すると、脳内ではストレスホルモンの一種、アドレナリンが分泌されます。

アドレナリンが分泌されると心拍数や血圧が上昇、また骨格筋への血液増加、発汗などが起こり、目の前の危機的状況に即行動できるよう体が準備します。

それを受け、その危機的状況から「回避」もしくは「攻撃」という行動へ移ります。この状態が、私たちが怒っている時の身体の状態です。 

つまり、危機察知とその対処のために脳がメッセージを送り、身体が反応するメカニズム。それが「怒り」だと言えるでしょう。

 

怒りの心理―「隠れた想い」 

誰かにウソをつかれた、騙された、いじめられた、暴力をふるわれた、など理由が明確な事柄に対しての「怒り」は理解できます。

しかし、突然怒り出すなど、何の予兆もない場合、怒っている相手を理解することは困難かもしれません。

しかし、人が怒るには、必ず理由があります。その理由はなんでしょうか?

実は「怒る」という感情の裏には、別の想いがあると言われています。それは「怒り」の感情ではなく、相手に対して、もしくは自分自身に対して何かを伝えたいということ

 

予期せぬ状況=危機的状況? 

脳の反応からもわかるように、私たちは危機的状況に遭遇すると「怒り」のスイッチが入ります。危機的状況は人それぞれですが、現代社会での危機的状況の多くは、「予想と異なる出来事に遭遇した時」ではないでしょうか? 

私たち人間は、日々の生活の中である程度のことを予測して生活しています。でも、時にその予想が外れることもあるのです。

2つの例をあげてみましょう。

①雑誌で見たモデルの髪型が気に入り、美容室に行きます。雑誌を見せ、「この人と同じ髪型にしてください」と注文したものの、その仕上がり具合には納得がいきません。自分の想像していたイメージとは全く違う。

人によってはここで、「ああ、そうかモデルさんとは顔の輪郭がちょっと違うからか」と、冷静に対処できる場合もありますが、「お願いした髪型と違います!」と怒りだす人もいるでしょう。

これは自分が予測していた結果と異なったことに対して、「怒り」という感情が湧きでたのです。

美容師さんが先に「お客様の場合、お顔のラインがこうですから、この髪形にするとこんな感じになりますよ」と別のイメージを与えることによって、この結果は変えられる場合もありますが、自分の予想しているイメージが強い人には、そんな言葉が届かない場合もあります。

 

②デートの待ち合わせ時間に、彼から「ごめん、ちょっと遅れる」と連絡が入りました。自分は10分ほど早く着いたので、その時点で10分待っています。

「ちょっと遅れる」の「ちょっと」という表現には個人差があります。「数分」と理解する人もいれば、「10分くらい」と理解する人もいるでしょう。

この「ちょっと」を「数分程度だろう」と自分なりに予測するか「彼の事だから30分くらいだろう」と予測するかによって、この後の「怒り」のレベルも変わってくるでしょう。

また、3分後に彼が到着したとしても、10分前に到着している自分は、すでに10分以上待っていることになります。

このとき大袈裟に「15分も待ったよ!」と怒るのはおかしいのですが、「怒り」のコントロールができない時は、ついそんな風に言ってしまうこともあるのではないでしょうか。もちろん、遅刻をする方が悪いのですが、やむおえない場合もあります。

楽しいデートのスタートが、ちょっとした一言で悪い方向へ進んで行ってしまった経験はわりと誰にでもあるものではないでしょうか?

 

怒りに隠れた本当の心理

さて、この2つの例から気が付くことはありますか?どちらも、自分の予想とは異なる結果が待っているのです。

そこには予期せぬ状況に対する「怒り」の感情と、その「怒り」に隠された別の想いがあります。それは、相手に伝えたいと思っている本当の想いです。

1つ目の美容室での注文は、「モデルのように素敵な髪型にしてもらいたい」「きれいになりたい」という想いがもともとあったのではないでしょうか?2つ目のデートで早く到着した彼女は「ちょっとでも、あなたに早く会いたかった!」という想いがあったのではないでしょうか?

例えば、「このモデルさんのような髪型が気に入ったのですが、私が真似るとしたらどんな風になりますか?どのようにできますか?」と伝えることもできたでしょう。

「今日が楽しみで10分前に着いてたんだよー!だから余計に待った気がしてた。でも会えて嬉れしいよ」と素直に伝えることもできるでしょう。

私たちが感じる危機的状況は、身体的な危機に限らず、自尊心や名誉などの感情的な危機も含まれると言われています。自分が予測していた以外の状況、これは私たちにとって「危機的状況」になりえます。

その状況自体に危険を感じたのかもしれませんし、その状況で「自分の想いが伝わらない。理解してもらえない」という自尊心や名誉が傷つけられるという危機感かもしれません。

つまり、「怒り」に隠れた心理、本当の感情は多くの場合「自分を理解してほしい」「自分を見てほしい」「助けてほしい」「愛してほしい」というような想いなのです。

 

「すぐ怒る人」は、「真面目で正義感のある人」!?

「怒り」のメカニズムが分かると、その対処法も見えてくるでしょう。予想外の出来事や状況が「怒り」スイッチを押してしまうのであれば、そのスイッチを押さない方法を考えればいいのです。

「この結果はきっとこうなる」「あの人の行動はこうあるべき」というように物ごと対して「~するべき」「~あるべき」というような考え方をしがちな人は、「怒り」スイッチが入りやすい状態にあるかもしれません。

物事の結果を一つに決めつけてしまうことで、その予測に反した結果が出たときに「怒り」のスイッチを押すことになってしまうのです。

例えば、「待ち合わせ場所には10分前に着いているべきだ」という考え方はいいことかもしれませんが、そこに固執しすぎることで、待ち合わせ時間ぴったりに到着した相手に対し、怒りがこみ上がるかもしれません。

「すぐ怒る人」は、物事に対して自分なりのルール決めができていて、これは良い、これは悪いという善悪にもこだわりがある人が多いでしょう。

真面目で正義感が強いタイプとも言えますが、多様な社会の中にいると、時に自分の持っているルールが相手のものとは一致しない場合も多いのではないでしょうか?

 

まとめ 

社会には様々な考え方や物事の捉え方があり、一つの考え方に固執するのはもったいないことです。

自分のルールに固執して、すぐに「怒り」のスイッチを押してしまう人は、多様な考え方や環境に触れたり、国籍や性別、職種、年齢の異なる様々な人と出会うことが効果的でしょう。

自分の視野を広げることで、目の前に起きていること対しても、様々な方向性、可能性を想定できるようになり、結果「すぐに怒る人」ではなく、「様々なことに対処できる人」になれるのです。

また、周りに「すぐ怒る人」がいる場合は、その人の本当に伝えたい想いと、「怒り」スイッチを押してしまうようなルールに縛られていないか、という視点からやり取りをすることもできるかもしれません。

その上で、相手の自尊心を傷つけないように、その人の視野を広げてあげることができれば、些細なことで怒る人が自己嫌悪を感じたり、理不尽に怒られたことによって傷つく周りの人を減らすことができるでしょう。

 



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