人間誰しもやりたいと思っていてもなかなか実行に移せない、実行してもやり抜くことができないことがあると思います。
例えば禁煙したいと思っているのに長続きしない、仕事などで自信が持てずできるはずの仕事が思った様にこなせないなど、日常生活の中には自分自身で「できないかもしれない」という不安から無意識のブレーキがかかってできなくなってしまう状態がよくおこります。
それらを解決する方法のひとつに自己催眠という方法があります。
自己催眠は自分自身を縛っているためにならない習慣や行動を変えたいと望んだときにその手助けになります。
自己催眠ができる様になるにはそれなりに練習が必要ですし、催眠のかかりやすさには個人差がありますが、正しい方法で行えば誰でもできる様になります。特殊な技術や能力は必要ありません。
自己催眠とは?
自己催眠を発見したのはエミール・クーエというフランスの薬剤師です。
エミール・クーエは薬を処方する際に患者に「新しい良く効く薬」であるという情報を与えることで効果が上がることから「本人が信じた事がそのまま事実になる」という自己暗示法を発見しました。いわゆるプラシーボ効果というものです。
スポーツ選手などが行うイメージトレーニングも自己暗示の一種といえるでしょう。
自己催眠は自分自身を催眠状態にし、潜在意識に強い自己暗示をかける方法です。
自己催眠の効果
通常人の意識は潜在意識と深く関わっており、意識で考えていることは潜在意識にも伝わっています。
そのため、自信が持てなかったり不安を感じていたりといったネガティブな意識が潜在意識に伝わり、無意識に能力を発揮する妨げになってしまいます。
自己催眠をかけることにより、潜在意識に強いポジティブな暗示をかけることにより自信を持ったり、不安を取り去ることができます。
主な効果として以下の様なものが期待できます。
- ストレスコントロール
- 免疫力の向上、体力の増強
- 集中力の強化
- 自信を深める
- 感情のコントロール
- 不安や恐怖、心配などのネガティブな意識の軽減
- 禁煙、禁酒ややめたい癖の解消
- ダイエット
- コミュニケーションの円滑化
- 作業効率ややる気の向上
自己催眠をかける方法
自己催眠をかける方法は以下の4ステップに分けられます。
ステップ1:暗示をかける言葉を準備する
自己催眠をかける前に自分自身にかけたい暗示を言葉にして用意しましょう。
一度にかける暗示は1つだけにしましょう。
暗示については以下に注意しましょう。
- 肯定的な言葉を使い否定的な言葉は使わない。
- 現在形を使う。
- イメージしやすい様に具体的に
- なるべく詳しく
- 現実的な内容にする(実現不可能な完璧な目標などは立てない)
- 能力についてではなく具体的な行動を言葉にする
ステップ2:催眠状態への導入
催眠状態に入るには以下の様な方法があります。
- 音を使う方法
催眠音声や音楽などでリラックスした状態から催眠状態へ移行する方法です。
- 視覚による図柄凝視
赤丸や十字架といった図柄を凝視することで精神統一し、その状態から緊張を解いてリラックスし浅い催眠状態へ移行する方法です。
- 手足を使った方法
体を使う方法は色々ある様ですが、手足や体に意識を集中し「重さ」や「軽さ」「温かさ」などをイメージしながら暗示をかけていき、体全体の力を抜けた暗示をかけて催眠状態へ移行する方法や、体に力を入れ緊張状態にしてから徐々に力を抜いていく方法などがあります。
- 自律訓練法
ドイツの学者が考えたリラックスするためのイメージ方法です。
ステップ3:暗示をかける
催眠状態に入ったら禁止の暗示(例えば目が開けられなくなる)をかけて催眠状態になっているかを確認します。
催眠状態になっていることが確認できたら、事前に用意しておいた暗示をかけましょう。
暗示のかけ方は以下の2つがあります。
- 事前に録音しておいた暗示の言葉を再生する。
- 暗示の言葉またはそのキーワードを繰り返し復唱する。
催眠は意思ではなくイメージによって作用します。暗示をかける言葉が成功することをしっかりイメージしましょう。
ステップ4:催眠状態からの覚醒
自己催眠をかけたら最後に必ず解きましょう。催眠状態のままだと潜在意識が開いた状態になっているので、その間に入ってきた情報が潜在意識に強く作用してしまう恐れがあります。
「階段を上がる」「1から10まで数える」などの催眠を解く動作は必ず行いましょう。
自己催眠は邪魔の入らない場所で行うべきですが、なんらかの邪魔が入って中断した場合でも催眠を解く動作は必ず行ってください。
